イセエビ(伊勢海老)
鮮やかな色と美しい姿、長い立派なひげと曲がった腰が長寿にもつながる伊勢海老は、
縁起のよい食べ物とされています。
結婚式やお正月など、日本の祝い事やご馳走のエビといえば、伊勢海老です。
イセエビは、昼間は岩礁の隙間に潜んでいます。
伊座利の伊勢海老はアワビやウニなどの磯のものを餌としていて、
贅沢な食生活です。伊座利には天然の豊かな藻場があり、
そこのアラメをアワビが食べ、そのアワビを伊勢海老が食べるという構図です。
夜行性で夜暗くなると食事に這い出してきて、
明るくなると岩のかげに隠れます。
旬
産卵期を保護するために禁漁期があります。
伊座利では、春の短い期間と、秋〜冬が漁期です。
荒磯が育てた天然の伊勢海老は甘くて美味しい最高の味です。
エビ網
伊座利での伊勢海老漁は、エビ網と呼ばれます。
前日の午後2時ごろに刺し網を仕掛け、早朝に引き揚げに行きます。
「刺し網」は獲物がひっかかったりからまったりして逃げられなくなるように
仕掛ける網で、夜、餌を求めて動き出す伊勢海老の習性を利用しています。
伊勢海老が動き回りそうな場所にねらいを定めて仕掛けなければならず、
漁場選びで漁獲量が左右されます。
エビ網漁は、月の満ち欠けとともに行われます。
というのは、月夜の明るい晩には、伊勢海老が網にかかりにくいからです。
エビに網が見えてしまうというのが本当か、
単に明るいからエビが出てこないというのが本当か、ともあれ
月齢表を見ながら、エビ網は月の暗い夜に仕掛けられます。
エビ網を引き揚げて、ぎいぎいと鳴く伊勢海老を、
ヒッカケと呼ばれるカギ型の道具を使って丁寧にはずしていきます。
エビ網は岩場や藻場に仕掛けるため、
食用となる磯魚や、チンガラと呼ばれる海藻類・アラメ、
カニ類や貝類など様々な磯ものが、伊勢海老とともにからまってきます。
団子状に複雑にからまった伊勢海老を傷めないようにとるのには、
熟練の技と経験が必要ですが、手馴れた手つきでエビははずされていきます。
伊勢海老をはずして漁協へかけた後のエビ網から
今度は磯魚・貝・カニ・海藻などをとっていく作業風景が、
この時期、伊座利のあちこちで見られ、秋の風物詩となっています。
網をさばき、破れたところを直してから、午後にはまた、網を仕掛けに海に船を出します。