漁場としての伊座利
伊座利は、徳島県南部の美波町の東端に位置し、太平洋に面した漁村です。
背後には明神山など急峻な山が迫り、小さな入り江が連なるリアス式海岸は、
室戸阿南海岸国定公園に指定され、風光明媚で美しい海です。
紀伊水道から四国最東端の蒲生田岬を回り込んでくる、低水温で栄養豊富な潮流と
太平洋の暖かい黒潮がぶつかりあう場所に位置し、
この潮流が、豊富な藻場を育み、多様な天然の魚をもたらします。
また、藻場に育つアラメなどの海藻とリアス式の岩礁地帯は、
あわびや伊勢海老などの磯資源の成長をうながし、
豊かな海の恵みを与えてくれます。
伊座利漁業協同組合
〒779-2107 徳島県海部郡美波町伊座利301-1
電話番号
FAX番号
あらめ加工場
漁協の役割
漁業協同組合は「漁協」「JF」とも呼ばれます。
漁業資源と漁場を守り育て、水産資源を消費者に安定供給するとともに、
漁業者の暮らしを守り、安心して漁業を営むことができるようにするのが
漁協の仕事です。具体的には、下記のような仕事をしています。
- 操業に必要な漁船用の油や漁業用資材を供給する
- 漁業者の獲った海産物を販売する
- 資源が減らないように稚魚などを放流する
- 乱獲や密漁や海難事故を防止する
- 組合員で規則を決めて公平に漁場を利用する
- 海産物を加工して販売する など
海の幸
夏
伊座利の夏は、あま(海士・海女)漁「かつぎ」の季節です。
六月、「かつぎ」の「くちあけ」(解禁)になると、
老若男女問わず、素潜りで磯にもぐってアワビ・サザエなどをとります。
伊座利産のクロアワビは肉厚で美味しく、高値で取引される高級品。
手に手にアワビを持って海士や海女たちが集まり、
漁協前は活気にあふれます。
「かつぎ」の合間に「伊座利のアラメちゃん」の原料となる海藻のあらめをとります。
あま(海士・海女)たちが海に潜って、手で刈りとってきたアラメは浜で天日干しされます。
浜いっぱいにアラメを干す作業、よく乾燥させるためにひっくりかえす作業は大変ですが、
みんなで協力しながら取り組んでいます。
秋から冬
秋九月には、伊勢海老をとる刺し網漁の「エビ網漁」が解禁になります。
月の満ち欠けにあわせて行われる漁で、とれる天然の伊勢海老は甘くて美味しいエビの王様です。
エビ網からはずされた伊勢海老は漁協前に集められて出荷されていきます。
伊座利のあちこちでエビ網にひっかかった海藻や磯魚をはずす作業が見られ、
秋から冬の伊座利の風物詩となっています。
十月、定置網漁の、大敷網・小敷網が再開され、六月まで行なわれます。
伊座利でとれる魚は、ハマチ・ブリ・サバ・アジ・イサギ・タチウオ・スズキ・
イワシ・スマ・メヂカ・カツオ・カマス・カワハギ・トビウオ・ヒラメ・タイ・
サワラ・アオリイカ・アカイカ・スルメイカ・コチ・ホウボウなど。
時には、マグロやマンボウも。
紀伊水道・黒潮の様々な旬の魚たちが水揚げされます。
春
ワカメやヒジキのくちあけ(解禁)で伊座利は海藻の匂いにつつまれます。
タチウオ・イサギ・アジ・サワラなどに続いて、
スマガツオ・メヂカ・カツオがやってきます。
大敷網・小敷網が休みになる六月まで、様々な魚があがります。